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オリジナルBL小説。ちょっぴり切ない心情を書き上げれたらよいなと構想練り中。性描写を含む展開となったりしますので18歳未満の方、又、苦手な方は、ご遠慮下さいね。 

最果てのキス(29)
2017-05-07 Sun 13:11
最果て29 400


ピンポーン

部屋のインターフォンが大きく響いた。
出勤準備でシャワーを浴びたばかりの僕は無視を決め込んだ。しかし、尋ね人は諦めないのか3回目の呼び鈴を押してきた。
流石に4回目のピンポンが鳴ったとき僕は観念してバスタオルで適当に体を拭きあげてインターフォンの前に駆けた。

「はい?!」

応答に答えるとTVモニターが映り一面に赤いバラの花が映った。

「あっ、よかった!フラワーショップAOYAMAです!お花をお届けにあがりました!」

驚くまもなく、すかさず相手が画面越しに顔を見せて勢いよく話しかけてきた。

「えっ、何?花なんて頼んでないけど」
「こちらは泉水、華織様のご自宅でよろしかったですか? 」
「はぁ……」
「泉水様にこちらの花束をお届けしてほしいとご依頼がありまして伺っております」

花束が大きいのか配達人が時折バラの中に消えていく。

「誰から? 」
「えー、滝沢暁様より承りました」
「なんで?! 」
「なんで、とおしゃられましても、私どもはご依頼を受けただけでありまして……その、お受け取り願いたいのですが」



「ではこちらにお受け取りのサインをお願い致します」

着替える為に5分ほど待ってもらい、玄関先で赤いバラの花束を受け取ると、華織は言われるがままに伝票の右端の升目にシャチハタで印を押した。

「こちらの液体をお水にいれますと長持ちいたしますのでどうぞお使い下さい」

延命剤の小さなボトルお置いて、配達人はにこやかにありがとうございましたと言ってさっさと去っていった。

渡された花束は見た目以上に重く緋色のバラで揃えられていた。透明なセロファンと赤くて薄いクラフトペーパーを使って綺麗にくるまれ、本数を数えるのが困難なくらいの大きさである。
伝票を見ると確かに暁の依頼らしいが、花束にはメッセージカードが見当たらない。


NYは……2時間引いて……

『もしもし』
「何これ?! 」
『あっ、届いた?よかった、受け取れたんだね』
「いきなり何してんのさ」
『サプライズ。どう、驚いた? 』
「あきれた」
『つれないな』
「……飲んでんの?後、すごくうるさいけど」

少し弾んだ暁の声と一緒に賑やかな笑い声と音楽がガンガンに鳴り響いているのが聞こえてくる。

『うん、今打ち上げと送別会を兼ねて飲みに来てる。華織は今から出勤?』
「そーだよ。それなのにどうすんのこの花、こんな大きなの入れる花瓶もないよ」

これが一輪のバラだとしても、男の一人暮らしに花を愛でる習慣があれば別だが、大多数は花瓶はおろか、一輪挿しだって家の中に置いていないはずだ。

『枯れないうちに日本に帰るから大事にしてて』
「即効枯らす!!」
『それはキツイな』
「暁」
『ん? 』
「あのさ」
『うん』
「なんにもいらないから。暁が帰ってきてくれるんなら、なんにもいらない……花、ありがとう……そんだけ、じゃあね」

自分の気持ちを言うだけ言って華織は電話を切った。
NYとは14時間差、あっちは夜中の1時を回っている。自分もたいてい仕事に向かう時間なためか、互いに気を使ってこの時間帯に電話をしたことはなかった。
どこかで暁は「一人」で「孤独」なのだと思い込んでいただけに、彼が会社の同僚と楽しそうに遅くまで飲んでいるとういう事実に少し驚いて寂しさを感じた。

セロファンが腕の中でカサカサと音を立て、いつの間にかバラの香りが部屋を満たしていた。



「華織がこれくらいならいいのに。」

そう言って暁が掌サイズの大きさを指先で形取る。

「いつも一緒にいれる」
「それだと、エッチできないよ? 」
「そのときは大きくなって」
「それ、つごうよすぎ」
「そう? 」

見つめあっておでこをぶつけ、笑ってから触れるだけのキスを交わした。

「そうだけど……いいねそれ。いつもいっしょにいれる」


ふと、別れ際の会話を思い出した。

あれからまだ2ヵ月半くらいしか経っていないのに、いつのまにか一緒に過ごした刻は過ぎている。

「サプライズって……」

今朝の事を気にしてのプレゼントなのだろうと想像はつく。
ただ、バラの花の扱いは難しい。長持ちさせるならきちんとした手入れをしてあげないといけないからだ。
きっと暁はそんなこと知らずに送ってきたに違いない。
本当に明日には枯らしてしまったらどうするつもりなのだろうと思うと可笑しさがこみ上げてきた。

暁に会ってからの僕は本ト忙しい。

あったかくって、痛くって、
心地よくって、 苦しくって、
早く帰っ来て欲しいのに、帰ってくるって聞いたら怖くって、

相反する気持ちが僕の中で鬼ごっこでもしているかのようにずっと駆け回っている。


携帯に暁からのメールが入った。

「いってらっしゃい、気をつけて
                satoru 」


僕は時空を超えて飛んできたその文字をしばらく眺めてから「いってきます」の返事の変わりに画面にそっとキスを降ろした。


To be continued



こんにちは&はじめまして。湊水貴です。この度はご来訪ありがとうございます(*´ー`;A゛

5月4日のコミティアにお店番として遊びに行きました。久しぶりのイベントでとても楽しかったです。
皆さん支部できちんと新刊情報仕入れてお目当てのサークルさんを回ってるんですね。
身分証明を確認する場面もあったりで、湊一人感嘆としておりました。

28話の冒頭に少しだけ文章足してしまいました。スミマセン(>人<。)
最果ても次回は30話になります。
牛の歩みではありますが、これからも気長に温かくお付き合い下されば幸いです。(=人=。)
いつのまにかのポチと拍手ありがとうございます(__)゛深々謝々多々嬉々☆☆☆ミ

湊水貴
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この記事のコメント:
華織ちんが可愛くなっております(*´ω`*)暁たん、できる男ですね(*´Д`)薔薇の花束で先触れなんてずっきゅんものでしょう(⋈◍>◡<◍)。✧♡きゅんきゅん萌え萌えの回でありました~!イラストの華織ちんも可愛いです~(´Д⊂ヽ💛
2017-05-07 Sun 21:38 | URL | 雪村せつな #-[内容変更]
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