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オリジナルBL小説。ちょっぴり切ない心情を書き上げれたらよいなと構想練り中。性描写を含む展開となったりしますので18歳未満の方、又、苦手な方は、ご遠慮下さいね。 

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BLの小路 「青レンガ倉庫」
2020-11-13 Fri 03:40
絵ちゃ300待ってるよ
はじめまして。こんにちは。湊 水貴 minato miki といいます。
ページにお立ち寄り下さいまして有難う御座います。
やっぱりBL萌えだったと、頭の中のヨコシマにスィッチon。
今後も湊の拙い文章とイラストが綴られていきます。
小説同様気長にお付き合い下され幸いです。
お知らせ
メゾンブラン雪村せつな様と合作連載「千夜一夜」スタートてます。文章、イラストかわりばんこ!雰囲気がそれぞれ違ってくると思います。どう、かわりばんこになるか本人達にも分からない見切り発車中。そこのところも含めてのーんびりお待ち&お楽しみくだされば幸いです☆
湊水貴 拝


最果てのキス 連載中  それはキスから始まった 第2シーズン(R-18指定☆)
クリスマスに結ばれた華織と暁。お互いの心の中に不安を残しつつも暁は一時帰国する。
圭と誰かの存在は二人の間に影を落とし、見えない棘を突き刺してまうことになる。

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18(R18)/ 19(R18)/  20(R18)/ 21 /  22/  23 / 24 / 25 /  26/  27/  27.5/  28/  29/





ひょうたん観察録
ひょうたん擬人化。 りんごあめBlogういちろ様 の夏休みの風物詩で遊んでいます☆(R-18含)

/1/ /2/ 



お米を食べよう推進会 開催中
食べ物擬人化。 りんごあめBlogういちろ様 の白米君と玄米君に恋した湊がお供をくっつけて遊んでいます☆(R-18含)

/1回/ /2回/ 3回/ 4回/ 


千夜一夜 連載中(雪村せつな様と合同作品)

新米キャリア、水沢天水音(ミズサワ アマネ)と、褐色の肌を持つ謎の男、勇敢の名を冠したラシードとの出会い。(R-18含)

/1夜/ 2夜 /  3夜/ 4夜 /  5夜/  6夜/ 7夜 / 8夜 / 


それはキスから始まった 完結

ホストクラブに勤めている薫。きゃしゃな身体に女顔。おまけに「華織」の女名を持っている。クリスマス前に一人の男にキスをする。ラブキュン織り交ぜてハッピーエンドが待っています。(R-18含)

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17/ 18(R15) / 19 /  20/  21/  22/ 23 /  24/  25/ 26 / 27 / 28 / 29 / 
30/ 31 / 32 / 33 / 34 /  35(R15)/ 36(R18) /  37(R15)/ 38(R18) /  39(R18) / ;
40(R15)/  41(R18)/ 42(R18) / 43(R18)(最終話)/ 
あとがき&番外編&漫画 / 



nostalgia

須藤愁聿(スドウシュウイチ)は高校の入学式の日に、赴任してきた一人の教師に恋に落ちる。
アンハッピーエンドに向けて切なく、とてつもなくゆっくり進行中。(R-18含)

/1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/ 10/ 11/ 12/ 13/ 


最果てのキス(29)
2017-05-07 Sun 13:11
最果て29 400


ピンポーン

部屋のインターフォンが大きく響いた。
出勤準備でシャワーを浴びたばかりの僕は無視を決め込んだ。しかし、尋ね人は諦めないのか3回目の呼び鈴を押してきた。
流石に4回目のピンポンが鳴ったとき僕は観念してバスタオルで適当に体を拭きあげてインターフォンの前に駆けた。

「はい?!」

応答に答えるとTVモニターが映り一面に赤いバラの花が映った。

「あっ、よかった!フラワーショップAOYAMAです!お花をお届けにあがりました!」

驚くまもなく、すかさず相手が画面越しに顔を見せて勢いよく話しかけてきた。

「えっ、何?花なんて頼んでないけど」
「こちらは泉水、華織様のご自宅でよろしかったですか? 」
「はぁ……」
「泉水様にこちらの花束をお届けしてほしいとご依頼がありまして伺っております」

花束が大きいのか配達人が時折バラの中に消えていく。

「誰から? 」
「えー、滝沢暁様より承りました」
「なんで?! 」
「なんで、とおしゃられましても、私どもはご依頼を受けただけでありまして……その、お受け取り願いたいのですが」



「ではこちらにお受け取りのサインをお願い致します」

着替える為に5分ほど待ってもらい、玄関先で赤いバラの花束を受け取ると、華織は言われるがままに伝票の右端の升目にシャチハタで印を押した。

「こちらの液体をお水にいれますと長持ちいたしますのでどうぞお使い下さい」

延命剤の小さなボトルお置いて、配達人はにこやかにありがとうございましたと言ってさっさと去っていった。

渡された花束は見た目以上に重く緋色のバラで揃えられていた。透明なセロファンと赤くて薄いクラフトペーパーを使って綺麗にくるまれ、本数を数えるのが困難なくらいの大きさである。
伝票を見ると確かに暁の依頼らしいが、花束にはメッセージカードが見当たらない。


NYは……2時間引いて……

『もしもし』
「何これ?! 」
『あっ、届いた?よかった、受け取れたんだね』
「いきなり何してんのさ」
『サプライズ。どう、驚いた? 』
「あきれた」
『つれないな』
「……飲んでんの?後、すごくうるさいけど」

少し弾んだ暁の声と一緒に賑やかな笑い声と音楽がガンガンに鳴り響いているのが聞こえてくる。

『うん、今打ち上げと送別会を兼ねて飲みに来てる。華織は今から出勤?』
「そーだよ。それなのにどうすんのこの花、こんな大きなの入れる花瓶もないよ」

これが一輪のバラだとしても、男の一人暮らしに花を愛でる習慣があれば別だが、大多数は花瓶はおろか、一輪挿しだって家の中に置いていないはずだ。

『枯れないうちに日本に帰るから大事にしてて』
「即効枯らす!!」
『それはキツイな』
「暁」
『ん? 』
「あのさ」
『うん』
「なんにもいらないから。暁が帰ってきてくれるんなら、なんにもいらない……花、ありがとう……そんだけ、じゃあね」

自分の気持ちを言うだけ言って華織は電話を切った。
NYとは14時間差、あっちは夜中の1時を回っている。自分もたいてい仕事に向かう時間なためか、互いに気を使ってこの時間帯に電話をしたことはなかった。
どこかで暁は「一人」で「孤独」なのだと思い込んでいただけに、彼が会社の同僚と楽しそうに遅くまで飲んでいるとういう事実に少し驚いて寂しさを感じた。

セロファンが腕の中でカサカサと音を立て、いつの間にかバラの香りが部屋を満たしていた。



「華織がこれくらいならいいのに。」

そう言って暁が掌サイズの大きさを指先で形取る。

「いつも一緒にいれる」
「それだと、エッチできないよ? 」
「そのときは大きくなって」
「それ、つごうよすぎ」
「そう? 」

見つめあっておでこをぶつけ、笑ってから触れるだけのキスを交わした。

「そうだけど……いいねそれ。いつもいっしょにいれる」


ふと、別れ際の会話を思い出した。

あれからまだ2ヵ月半くらいしか経っていないのに、いつのまにか一緒に過ごした刻は過ぎている。

「サプライズって……」

今朝の事を気にしてのプレゼントなのだろうと想像はつく。
ただ、バラの花の扱いは難しい。長持ちさせるならきちんとした手入れをしてあげないといけないからだ。
きっと暁はそんなこと知らずに送ってきたに違いない。
本当に明日には枯らしてしまったらどうするつもりなのだろうと思うと可笑しさがこみ上げてきた。

暁に会ってからの僕は本ト忙しい。

あったかくって、痛くって、
心地よくって、 苦しくって、
早く帰っ来て欲しいのに、帰ってくるって聞いたら怖くって、

相反する気持ちが僕の中で鬼ごっこでもしているかのようにずっと駆け回っている。


携帯に暁からのメールが入った。

「いってらっしゃい、気をつけて
                satoru 」


僕は時空を超えて飛んできたその文字をしばらく眺めてから「いってきます」の返事の変わりに画面にそっとキスを降ろした。


To be continued



こんにちは&はじめまして。湊水貴です。この度はご来訪ありがとうございます(*´ー`;A゛

5月4日のコミティアにお店番として遊びに行きました。久しぶりのイベントでとても楽しかったです。
皆さん支部できちんと新刊情報仕入れてお目当てのサークルさんを回ってるんですね。
身分証明を確認する場面もあったりで、湊一人感嘆としておりました。

28話の冒頭に少しだけ文章足してしまいました。スミマセン(>人<。)
最果ても次回は30話になります。
牛の歩みではありますが、これからも気長に温かくお付き合い下されば幸いです。(=人=。)
いつのまにかのポチと拍手ありがとうございます(__)゛深々謝々多々嬉々☆☆☆ミ

湊水貴
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最果てのキス (28)
2017-04-22 Sat 12:52
 最果て28 450
「……うん」
『かわりはない? 』
「うん」
『本当? 』
「うん」
『華織』
「うん」
『聞いてる?』
「うん」
『荷物まとめたらチケット取ってすぐ日本に行くよ』
「うん」
『華織? 』
「ん? 」
『さっきから「うん」しか言ってないよ? 』
「……うん」

久々に暁との会話だというのに僕の返事は「うん」の一辺倒だった。どうやら流石の暁も「うん」では物足りないらしい。
暁が帰ってくる。やっとだ。月日が経つにつれ電話もメールもどんどん減った。連絡しても「忙しい」と「ごめんね」のオンパレードな返信に、このままフェードアウトに持ち込まれるのかとどこか思っていた。

『連絡出来なかったこと怒ってる? 』
「そんなんじゃ……」
『じゃぁ、淋しい? 』
「当たり前のこと聞かないでくれる 」
『ははっ、ごめん、ごめん』
「何で!? 」

イラついた気持ちが思わず親指で通話終了の文字を触れさせた。

「あっ!ちょっ……あ―も―っ!!」

何やってんの!?自分で自分に悪態をついて狭いベッドの上で大の字になった。
「だって笑うから」「何で笑うの」電話を切った言い訳をぶつぶつ呟きながら表示画面を睨みつける。ろくな返事もしていないくせにいきなり回線を切断したことに暁はきっとあきれてる。いや、怒っているかもしれない。
信じていないわけじゃない。ただ、暁はココにいない。今の世の中メール一本で別れることも簡単だ。明日になれば、「ごめん、やっぱり日本には行けない」そんな言葉が送られてくるかもしれない。
怖い。一日一日離れていくたびにもう二度と会えないような不安に襲われる。
ブーンと携帯が震えると、画面に「暁」の文字が表示される。いつまでも眺めていたかった。応答にそっと触れて耳にあてるとすぐ暁の声がする。

『華織?ごめんね』
「……違う」
『あー……お腹すいてる? 』
「それ、ケンカ振ってんの? 」
『まさか』

言われて気づくが確かにお腹がすいていた。なるほどと納得もするがそれとこれは別だ。
楽しそうにしている暁にどうしても素直になれなくて、そんな自分に嫌気が差した。これ以上話しを続けてしまうとろくなことにならない。

「……いい。時間決まったら連絡して。迎えに行くから」
『華織』
「なに? 」

相変わらず機嫌が悪くなるとつっけんどんな物言いになってしまう。だから余計に暁は楽しいのかもしれない。不機嫌な自分を暁はいつも楽しそうにあやしてくる。それがいっそうイラつかせるって分かってるくせにやってくるからたちが悪い。

『好きだよ』

……ずるい。これはずるい――ストンと、耳元に落ちてきた言葉にあっけなく心が揺さぶられた。

『聞こえた? 』
「……もういっかい」
『好きだよ、華織』
「……うん」
『やっぱり「うん」だけ? 』
「うん」
『そっか……』

沈んだ声音の返答にしょんぼりとした暁の姿が目に浮かんだ。

「返事!……会ったとき直接言う。だから……だからさ……聞きたかったら早く帰っ、て……きて……」

語尾がかすれた。言ったそばから後悔している。電話越しに暁はきっと困ってる。
早く帰ってきて。それは自分の中で禁じワードにしていた。、どんな言葉を使っても、どんなに暁を思っても、離れた距離はそれで埋まりはしない。仕方のないことだと何度も言い聞かせて僕は暁を待つしかないのだ。

『……すぐだよ。すぐだ。帰ったらちゃんと返事聞かせてね。約束だよ』
「うん」
『うん』

またね。って暁は電話を切った。手の中にある熱が彼と繋がった唯一の証拠。頼りない残影に頬を寄せると温かい。
14時間の刻を越えて届く暁の声は相変わらず優しくて、心地よくて、簡単に僕を幸せにする。魔法のように一瞬と。
約束事が又一つ増えた。

「帰ってくるって」

待ってて――会いたくて、触れてほしい。キスして、抱きしめてほしい。伝えたい言葉ならいくらでもあるから。
もうすぐ3月も終る。いつもより遅い桜前線と共に暁が帰って来るのだった。

*´

「ねぇ、マジで僕と付き合わない?」

甘ったるくまとわり着くような声音で自分の上でイッたばかりの男に持ちかけた。
あっけなく下肢から男のモノが抜けていくと、うるさいといわんばかりに背を向けて起き上がっていった。余韻に浸って抱きつくひまもない。
男はベットの上でタバコに火をつける。行為が終れば用は無し。いつもの事だけど最近はそれが気に入っている。どうやら自分は追いかけるほうが燃えるたちらしい。新しい発見に自分でもワクワクしているのが分かる。

「ねぇ……」

肩越しにユラリと立ちのぼる紫煙を眺め、男の背中にもたれかかり汗臭い素肌の匂いを嗅いだ。「女」とは違う固くて重たい「男」の熱を帯びた体が好きだった。

ふと男が何かを呟いた。「何?」と問いかけても返事は無い。あまりに小さくぼやいた男の言葉は結局何か分からない――まぁ、いい。「……僕ん中、あんたでいっぱいだよ。ほら」

初めは超最悪な男だった。男の抱き方を知らないで自分を無理やりベッドに押し倒したのだ。あらかじめSEX込みのデートコースだったとはいえ、あれはない。ヘタすれば恥を忍んで肛門科に通うはめになるところだった。
ノンケがただ単に興味本位で「男」を抱いてみたいのかと思った。だけど男とのデートはこれで5回目になる。興味本位なら同じ男を指名して5回も会いはしないだろう。
かといって男はのめり込んでくるわけでもなかった。むしろどこかゲイを否定しているようにも感じた。男は冷めた眼差しに時折殺気を交えて何度も自分を突き上げる。
――ゾクリとした。
おもしろい。きっとこの男を落としてみせる。

恥ずかしげも無く下肢を開いて男のタバコを持っていないほうの手を導く。足の間は今しがたのローションと自分と男の精液がぐちょぐちょに混じりあい湿度が増して最高に気持ちがいい。
めんどくさそうにしてるくせに、男の股間も半立ちしたままだ。チラリと向けられた男の視線を逃がさないように、めいいっぱい挑戦的に微笑んだ。

「 ね、もっかいイれてよ、ケイ――」

To be continued

こんにちは&はじめまして。湊水貴です。この度はご来訪ありがとうございます(*´ー`;A゛
イラストは華織さん。
思っていたより薄く塗りあがるイラストをなんとかしたくもがいてみたけど、かわらない……。
文章もさることながら色塗りも試行錯誤中。課題はもりもりっ!
これからも気長に温かくお付き合い下されば幸いです。(=人=。)
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湊水貴
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最果てのキス (27.5)
2017-04-17 Mon 08:13
最果て27.5 450


三隅が憎いと同時に彼を欲してやまない自分が存在している。
三隅はあてつけのように目の前で楽しそうに会話を交わす。
相手は滝沢暁。そつの無い洗練とされた美青年。時折無防備に見せる危うさが三隅には格好の餌食だった。

仕事の話。以前から三隅は彼を引き抜く算段を立てていた。そうと分かっていても好ましい光景ではない。自分以外のものに向けられる好意を目の当たりにすると、自分の存在価値が足下から崩れ落ちていきそうになる。
一度席に戻ろうと三隅に頭を下げると、左手を上げて引き止められた。無視して席に戻るという選択肢は無く、あきらめて電話が終るのをこの場で待つしかなかった。

三隅の会話のテンポから滝沢暁がろくに話していないことが分かる。一方的な三隅の誘いに戸惑っている彼の姿が目に浮かび、三隅がそれを楽しんでいる様は、イラつかせられるのに十分だった。

ほんの数分で電話が終わった。

「悪かったね」

微塵も思っていない言葉を平然と使い、自分を労るそぶりを見せる。何事も無かったように自分に向き直った三隅には、無性に腹立だしく、憎らしく、心を煮えたぎらせられる。抑えようの無い不快感に、癇癪をおこした幼子のように足掻きたくなった。

「いいえ、こちらこそ遅くなって申し訳ありませんでした」

そつのない対応でかわしている自分に呆れた。当たり前だ。社会という枠で収められた一サラリーマンでしかないのだと自嘲した。


当初の目的である資料を渡した。三隅はうなづくと受け取った資料をめくり、目を通しだした。
背後の大きなガラス窓に彼の後姿が映っている。あたかも三隅がもう一人存在しているかのようにくっきりと。そして一緒に映っている自分の姿を観る。ガラスに映っている自分は三隅の後姿を見ていた。
左上に反射している時計に目をやると時刻は24時を過ぎている。残業時間の短縮に厳しくなっているとはいえ、決算時期はまとめる資料の膨大さにどうしても0時を超える日々が続く。
先程とはうってかわって静かな眼差しで書類に目を通している三隅を見下ろした。23時の時点でフロアには自分一人しか残っていなかったから、今この階には三隅と自分しかいない。たったそれだけのことにも何か意味を探してしまう自分がいた。
静かな部屋で紙をめくる乾いた音が耳につく。紙1枚めくる所作さえ彼には気品があった。

あの美しい指先がどう動くのか自分は知っている。焼き印のように掌は熱く、触れられたそばから痛みで狂いそうになる。彼との口付けは、悪魔と交わす契約のように恐ろしい。自分は、瞳も、心も、全てを三隅に奪われてしまったのだ。
気づけばガラスの中にいる自分が微笑んでいた。 自分でも見たことのない笑みに嫌悪を感じ、あわててガラスに映る二人を通り越してまだ明かりの点いているビルの窓に意識を向けた。
同じように遅くまで仕事をしている会社はいくつもある。ただ、この時間までくれば窓の明かりの位置もたいてい決まっていた。
点在している明かりは、都会では見ることの出来ない夜空の星座のようである。小学校のころ理科の授業で使った星座盤を思だした。壮大な夜空に向かって星座盤を掲げ、首が痛くなるまで必死に夏の大三角を探したことがる。あの頃と同じように光を繋げてみるけれど、どれだけ目を凝らしても何も見つけることはできなかった。
ガラスと夜との境目をぼんやり眺めていると、視界の中でソレは陽炎のように動きだした。
ガラスの中の都筑は自由だった。「三隅」に寄り添いだし、彼の背中に頬を埋めると優越感に浸った眼差しを向けてくる。ためらいもせずに伸びた腕は「三隅」の胸元をまさぐり狂おしいほどに抱きついた。首筋に唇をよせ彼の浮きでた青い静脈に舌を這わす。陶酔しきったように都筑は何度も首筋を舐めあげている。崩れ落ちそうになりながらも必死で舌を這わすソノ姿は、目を背けたくなるほどあまりにも惨めで醜かった。


愕然とした。自分は奪われたのではない。自らをこの悪魔に捧げてしまっているのだ。


三隅は変わらず資料を読んでいる。あさましい自分のことなど気にも留めていない。今だガラスの中でソレは頬を紅潮させ淫らに「三隅」にしがみつている。
狂おしいまでに三隅を求めている自分と、恐れおののくくらい三隅の存在に怯えている自分。この入り混じった感情の扱い方を知らないし、知る術も分からない。この先もずっとわけの分からない感情を持て余していくのだと思うと絶望に嘆きそうになった。


「統括」
「何かね? 」
「やはり、滝沢暁を向かえるつもりですか? 」

三隅は資料から顔を上げると、都筑のいきなりの問いを咎めもせず思案するそぶりを見せた。しかし、ここでは数ある答えの中から効果的な言葉を選りすぐっていると言ったほうが的確かもしれない。

「君は彼をどう思う?」
「嫌いです」

三隅の問いに都筑自身驚くぐらいはっきりと即答した。26年生きてきて、人の好き嫌いをこうまではっきりと述べたことはない。

「何故? 」

三隅は見当違いであろう極めて個人的な意見を咎めはしなかった。むしろ興味をそそられたのか資料を閉じてデスクに肘をつき両手を口元辺りで組んで都筑の返事を待った。

「その質問は命令ですか? 」
「そうではないよ」
「では、言うつもりはありません」

青白い陶磁器のように表情は固く、依怙地なまでに口元を閉ざした。誰にでも当たりさわりなく接する都筑が、こうまで敵意をあらわにするのは珍しかった。滝沢暁の存在がこんなにも気に食わないとは思ってもいなく、都筑の意外な一面に三隅は心を躍らせた。

「ならば、命令としよう。何故だね? 」
「言いたくありません」

都筑の瞳が伏せられ、全てを拒絶する意思を見せた。頬に真っすぐと影を落とした彼の睫を鑑賞する。どちらにしても都筑は口を割るつもりはなかったのだろう。角度を変えて彼を視界に入れると、今度は眼鏡のレンズが反射して彼の愁える横顔の一部を秘し隠した。
自分の言動に一喜一憂してみせる都筑のことをとても気に入っている。
人は脆い。扱い方一つで壊れていく人間を観察するのはひじょうに興味深かった。都筑が欲しいというのなら、恋情も愛情も与えることに惜しみない。ただ、三隅にとって「恋」「愛」と名の付くものはアクセサリーと一緒だった。そこに何の感情も無い。あいまいな言葉に意味を求めるなど愚問でしかなかった。
しかし、そのことを誰にも言うつもりなかった。あらがうことで自らを主張している目の前の青年に対しても。

Fin


こんにちは&はじめまして。
湊水貴です。
この度はご来訪ありがとうございますヽ(*´▽`*)ノ
再開したばかりだというのに三隅×都筑ですみません。
今回は本編のスピンオフとして27.5話となっています(´ω`;A゛
イラストは二人とも都筑です。
個人的にはこの二人のやり取りを気に入っていて、いかに都筑を救いようなく書くかにかけています(笑)
書く&描くはムズカシイー!ともがいていますが、
これからも気長に温かくお付き合い下されば幸いです。(=人=。)
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湊水貴
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拍手コメレス☆ミ
k様
お久しぶりでございます。ただいま帰りましたヽ(*´▽`*)ノ
長らくあいてしまったのに、こうしてお声おかけいただけて大変うれしいです。ありがとうございます!!
これからもがんばりますので、どうぞ、宜しくお願いいたします。
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最果てのキス(27)
2017-04-14 Fri 08:02
最果て27縮小450

ふぅっ……
誰に聞かせるわけでもなく暁は大きなため息をついた。枕もとの時計を眺めいつになく進まない刻を数え、又一つ寝返りをうってみる。自室に戻り少しでも休もうと横にはなったものの、目が冴えるばかりで一向に眠りにつくことが出来ずにいた。窓越しに見える外は未だ闇をまとい、天から落ちる一片の結晶達はNYの街を飲み込む勢いで地上に降り立ち、巨大な集合体を作りあげている。

ふぅっ……
幾度目かのため息を漏らすと、ひとしきり寝返りを打って無駄に温めたベットを抜け出した。このまま来もしない睡魔を待っているよりは、会社に戻ってプログラムでも眺めているほうが幾分かましだと思ったからだ。
ひんやりとしたシャツの袖に腕を通し身支度を整えていく。伸びた前髪を梳き、鏡に映る冴えない顔をした自分に眉根を寄せてにらみつけても、情けないの一言しか浮かばなかった。そして、誰も聞いていないのをいいことに、暁は又一つ、ため息を零した―――――――――――――――。



刻は離れていく時間を示すと同時に近づく時間をも示す
あいまいな領域で右往左往する恋人達
光の速さで思いをたぐりよせ
ガラスケースに閉じ込めたぬくもりを抱きしめる
時間を告げるウサギがいたずらに針を回し
鳴り止むことのない鐘の音を聞く


3月があと7日で終ろうとしていた。外はまだ日が高く久しぶりの太陽が空を青く見せた。窓越しに暖かな日差しを感じても建物の外は今だ冬の冷たい風で覆われている。ストリートの端に積み上げられている雪は排気ガスで真っ黒に変色し、今だ行き交う人々の足を鈍らせていた。

プロジェクトもあとこの報告書を提出すれば終わりを告げる。保存したばかりのデーターをざっと見直すと、暁はギッと椅子の背もたれを軋ませて天上を仰ぎ、強張った背中を伸ばしてひと息つけた。筋肉が伸びると鈍い痛みと共に関節に空気が入り、血流がじんわり巡っていくのが分かる。閉じた視界に追いかけてくるライトの光は瞼の下でチカチカと瞬いた。それはまるで雪降る深夜に見上げた夜空のようでもあった。
―――――ずっと、ずっと生ぬるい澱の中に漬かっている。
迷いは人を惑わせるには十分で、華織との時間が離れれば離れるほど、それは深く沈みこんでいった。囚われた思いの深さに。後ろめたさに。、身勝手さに。自分で課した罪の深さに。それらは容易に足元をすくい簡単に行く手をはばんだ。
それでも最優先事項はプロジェクトの終了だった。それが終らなければ何も動けない。それをいい訳に、都合よく全てを振り払い後回しにしていたことは過言ではない。しかし、事実仕事は忙じく、プロジェクトの本番稼動間近はオフィスが殺伐と化としていた。メイスンでさえ流石にいつもの軽口をたたく暇がないくらい黙々と液晶画面を睨み続けるという目面しい日々だった。


散漫した意識をいさめるようなタイミングで、デスクの上の携帯が着信音を告げた。
居住まいを直し携帯を手に取ろうと伸びた指先がその手前でピタリと止まる。

「はい」暁は着信者の名前を確認してから、たっぷり3コールは待たせて電話に出た。
『滝沢君?三隅です。今、電話大丈夫かな? 』待たされたことなど気にも留めない三隅の悠然とした声音がすぐに言葉をつなげてきた。
「ええ、構いませんが……その節は、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした』
『それは前にも聞いたよ。気にすることは無い。その後、体調はどうだい? 』
「はい、おかげさまで何ともありません」
『そう。ならよかった』

NYに戻ってきたばかりの頃、三隅には5ストリートで貧血を起こした自分を偶然にも助けてもらったことがあった。しかし、多忙なスケジュールを抱えての滞在な為、十分な御礼もできないまま三隅は帰国してしまった。三隅と父に交友があるとはいえ、その一件で自分が彼と気軽に会話を交わすような間柄になったつもりはなかった。
突然の連絡に三隅の意図がつかめなく言葉に窮していると、こちらの戸惑いを見透かしたように電話口からふっ、と息をこぼすような笑いが聞こえた気がした。

『今しがた滝沢氏と話しをしてね。そこで、君が日本に来ると聞いたよ』三隅はそこでいったん言葉を切った。

父、と―――――

『私の言った言葉を覚えているかな?あっ……いや、ここは単刀直入にいこう。おそらく君もおおよその見当をつけただろう』

彼のスタイルなのか三隅は初めて会ったときからフランクだった。しかも、そこに強引に入り込んでくる手合いを感じさせるせいか、どうしても身構えざるおえない。口をつぐむ暁に対して、三隅は構わず言葉を続けた。

『滝沢君。日本に来るのなら、君には私の下で働いてもらいたい』
「……父が、何か言ったのですか?」
『たとえそうだとしても、私はコネなどで人を選ぶようなことはしない。そんなことをしていればきりが無いしね』
「そうかもしれませんが……」
『まぁ、詳しいことは君が日本に来てから話そう。忙しいところ悪かったね。では、又』
「えっ?ちょっ、三隅さん!?…………」

呼びかけの途中で通話は切れた。掛け直すわけにもいかず、こちらのことなどお構いなしの三隅の一方的なアプローチに、暁は茫然とするしかなかった。真夜中に国際電話を使ってまで人をからかうほど三隅は暇ではないだろう。ふっと肩の力が抜ける。三隅らしい。三隅のことなどよく知りもしないくせに何故かそう思わずにはいられなかった。


「Jr、トラブルか? 」

気づけばメイスンが横に立っていた。

「あっ、あぁ……いや……大丈夫だ」

「ならいいが」

胡乱な返答にいぶかしげな眼差しが向けられる。

「……少し、考え事していただけだ。問題ない」
「感慨にふけるにはまだ早いぜ.。やることはくさるほど残ってる」
「よく言う。くさるほど残したつもりはないよ。どちらかといえば明日からこなくてもいいくらいなはずだ」

こんな軽口をたたきあうのもあとわずかと思うと確かに感慨深いものがある。報告書の提出が終れば残務処理に2日ほどきて残りは有給消化も兼ねて会社に来るつもりはなかった。もともと休職の前に一度ほほとんどの引継ぎはしたあった。それでなくとも第3セクションはメイスンを筆頭にポテンシャルの高いメンバー構成になっている。自分が抜けて困ることなどそうそうないだろうと思っている。

「心配はありがたいが次のプロジェクトが始まっているんだろ。俺にかまけてる暇なんてないんじゃないのか」わざと冷たくあしらうように暁は斜めにかまえた。
「……確かに大丈夫そうだな」メイスンもやれやれと大げさに肩をすくめ両手のひらをあげる。「まっ、あと少し宜しく頼むぜJr.」あげた手でポンと暁の肩をたたくとヒグマのような巨体を揺らしながらメイスンは自分のデスクに戻っていった。

暁は大きく息を吐くと、できあがった報告書に再度目を通しはじめた。マウスでゆっくりとスクロールして打ち込んだ文章に不具合がないかを細かくチェックしていく。
文字を追いかけている途中、ふと感傷的になった。こんな感情的な思いが湧いてくるとは以前の自分なら考えられないことだったから少し驚いた。さっきメイスンにたたかれた肩が温かい。
思い返せばなんて自分は傲慢だったのだろう。優しさに気づかず自分は一人なのだと思い込んでいた。プロジェクトは、より深い人と人とのコミニュケーションが必要である。それが強い信頼関係を築きあげ、組織として成功を高めることにつながるからだ。他人に一線を引いていた自分に、どの面下げて「信頼」などと言えたものか。未熟な自分を支えてくれた第3セクションのメンバーには感謝に堪えない。

華織に会いたい――――――――――。今、無性に華織に会いたくなった。はやる気持をおさえ羅列された文字を読んでいく。
1年ほどかけたプロジェクトを綴った一文字一文字は、まるで未来へと繋ぐ恋文のようだった。

To be continued

こんにちは&はじめまして。この度はご来訪ありがとうございます。
ご無沙汰しすぎでしょ!の湊水貴です。
びっくりなことに、最後に小説をUPしてから3年4ヶ月ほど経ちました。
管理者の我がままから残していたブログではありましたが、
ありがたいことに、ほったらかしていた間にもお立ち寄りいただいた方々がいらっしゃいました。
本当にありがとうございます。
とても嬉しいです(__)゛ペコリ

今、湊は5年勤めた会社を辞めて2週間ほど経ちます。
途中忙しく、物を創る気力というものがそぎ落とされてしまいました。
それが3年ものあいだブログを更新できなかった理由でもあります。

今後は再就職に向けても考えないといけないのですが、つかの間の自由を満喫したいと思います。

余談ではありますが、湊、米津玄師にのめりこんでいます。誰か好きな人いないかなーヽ(*´▽`*)ノ

これからも気長に温かくお付き合い下されば幸いです。(=人=。)
いつのまにかのポチと拍手ありがとうございます(__)゛深々謝々多々嬉々☆☆☆ミ

湊水貴
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