オリジナルBL小説。ちょっぴり切ない心情を書き上げれたらよいなと構想練り中。性描写を含む展開となったりしますので18歳未満の方、又、苦手な方は、ご遠慮下さいね。 

BLの小路 「青レンガ倉庫」
2012-11-13 Tue 03:40
はじめまして。こんにちは。湊 水貴 minato miki といいます。
ページにお立ち寄り下さいまして有難う御座います。
やっぱりBL萌えだったと、頭の中のヨコシマにスィッチが入ってしまいました。
今後も湊の拙い文章とイラストが綴られていきます。
小説同様気長にお付き合い下され幸いです。
お知らせ
メゾンブラン雪村せつな様と合作新連載「千夜一夜」スタートしました。文章、イラストかわりばんこ!
雰囲気がそれぞれ違ってくると思います。どう、かわりばんこになるか本人達にも分からない見切り発車。
そこのところも含めてお楽しみくだされば幸いで~す☆
湊水貴

それはキスから始まった 連載中

ホストクラブに勤めている薫。きゃしゃな身体に女顔。おまけに「華織」の女名を持っている。クリスマス前に一人の男にキスをする。ラブキュン織り交ぜてハッピーエンドが待っています。(R-18含)

/1/ 2/  3/ 4/ 5/ 6/ 7(R18)/  8/ 9/ 10/  11/  12/  13/ 14 / 15 /  16/ 
17/ 18(R15) / 19 /  20/  21/  22/ 23 /  24/  25/ 26 / 27 / 28 / 29 / 
30/ 31 / 32 / 33 / 34 /  35(R15)/ 36(R18) /  37(R15)/ 38(R18) /  39(R18) / ;
40(R15)/  41(R18)/ 42(R18) / 


千夜一夜 新連載(雪村せつな様と合同作品)

新米キャリア、水沢天水音(ミズサワ アマネ)と、褐色の肌を持つ謎の男、勇敢の名を冠したラシードとの出会い。(R-18含)

/一夜/ 二夜 /  三夜/ 



nostalgia

須藤愁聿(スドウシュウイチ)は高校の入学式の日に、赴任してきた一人の教師に恋に落ちる。
アンハッピーエンドに向けて切なく、とてもゆっくり進行中。(R-18含)

/1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/ 10/ 11/ 12/ 13/ 



それはキスから始まった (42)(R18)
2012-05-15 Tue 07:33
キス42縮小400
主導権の無いセックスに目覚めさせられた、潜んでいた雄の人格。
体制を入れ替えて華織を乱れたシーツに押さえつけた暁は、泣き濡らすきゃしゃな肢体(シタイ)を眇め下ろした。
オレンジの薄暗闇の中、鼓動は邪魔なくらいうるさくて耳障りだった。

子猫のようなまあるい瞳を赤く染めて溢れる涙。、
さくらんぼのような唇は、身体に受けてる痛をこらえようとしているのだろう、華織の犬歯を時折食い込ませている。

暁の掌には、華織の細い手首が握られて、シーツに沈み込み深い影を作る。

華織の身体に入れたままの屹立の脈動が「早く」と全身に命令を下す。



___________まるで自分が犯してるかのような気にさせられた。



「華織・・・。」

呼びかける声が上ずって掠れた。

華織は何も応えず、唯、涙でけぶる先にいる暁を見上げていた。


好きな人の繋ぎ止め方なんて知らない。

「誰」にも暁を渡したくなかった。

他の男のように誘って、自分に溺れればいい___________そんな浅はかな考えしか思いつかなかった。
どうせなら、身のうちに沈む澱も、すべて暁から受ける痛みに置き換えれたらと願った。
だけど、身体に受ける痛みは、どうしても甘い痛みにしかならないことに、華織は泣いた。
同じ痛みでも、暁から与えられる痛みに、「痛み」はなかった。
しまいには、快楽を追い求めるように作りあげられてる身体は、自ら刺激に弱いトコロを求めて動き、痛みからも逃れようとする。



サイテーだ__________・・・・・。



瞳の際に大きな雫を溜めて、頬を濡らしたとき、狭い内壁と後孔で締め付けている熱が動く。

「っあ______!」

華織の背中がシーツにキレイなアーチを作った。

暁が滑りの少ない蕾をくぐって抽挿しはじめた。
一人の男をここに作った。
優しげな風貌の暁には不似合いの鋭利な瞳に灯された焔。

男の征服欲と嗜虐心を煽る華織の姿見は、扇情的すぎた。


強張りで華織の蕾が締め付けて、熱くて狭い内壁が暁を押し出そうと圧迫してくるたびに、手首を握る暁の掌に力が込められた。
乱暴にしてしまえばポキリと折れてしまいそうな細い手首は、どこまでの力を受け止めれるのか興味をそそられたが、
たった、これだけでしか身体を繋げることのできなさにもどかしくて、
手首を放し細い腰を抱えなおしてもっと・・・もっと奥へと暁の屹立は穿ちだした。
掲げ上がった華織のほっそりとした白い両足が、自分の動くリズムに合わせて艶(ナマメ)かしく揺れるのも心地よく、
苦しそうな喘ぎが、耳の中でこだまして、心奪われる。


抱えられた腰から響く痛みに体が悲鳴を上げていた。
暁の指先が薄いお尻に食い込んで皮膚が引き裂かれるような感じだった。
迫り出しそうになる内臓を何度も飲み込んで耐える。
放された手首の先は、シーツの上で空を握りしめ、暁に伸びていきそうな腕を引き止める。
華織は暁の欲望を静かに受け止めた。

優しい言葉もなく、一方的に触れる暁。
昂ぶりで粘膜を押し広げ華織に浸る。
圧迫感が気持ちいい狭い粘膜の中では、自らの先走りの蜜と、初めて抱いた時の自分が放った淫蜜の残滓が混じり、
どんどん滑りをよくしてきた。

暁は華織のすべてに酔いしれ、熱の解放に向けて、夢中になる。


初めて抱いてくれたときのような、愛おしく囁いてくれる言葉、そっと触れる指先、優しいキスは何処にもない。
それが、こんなにも自分を苦しませるものだったとは思いもよらなかった。
感情のないまま、獣のようにただ欲望で貪られるだけなら、暁じゃなくてもいい。
そんなの、適当に誘えば誰かが与えてくれる。

だけど・・・あの、満ち足りた・・・幸福(シアワセ)に包まれるようなセックスは暁しかくれない。


「っ・・・うっ・・・あ、っ・・_____」

キレイな暁を自分で汚した・・・。

「・・・ぅっ・・・ゴメ ン・・・・・暁_______」


そして、自分の愚考は、深い闇に沈めた澱を漂わせてしまうものだった。
もう、遅い・・・。
おもいっきり唇をかみ締めた。
華織の犬歯が柔らかい唇の皮膚を破り鮮赤が表れた。

「・・・ゴ・・・ンッ・・・サ ト ル ・・・ッ、ゴメ ン__________」

軌跡を残して白い肌にゆっくりと一筋の赤を描く。

暁の狂おしげな表情を眺め、華織は待った。
突き立てられる欲望から、熱が放たれるのを・・・。

To be continued

こんにちは湊です。改めてページにお立ち寄り下さいましてありがとうございます。(__)゛ペコリ
早いもので、5月の半ばにさしかかりました。湊はGWも普通に仕事で、週末も仕事。
仕事で、犬を形作ることがあり、お尻を形取りながら、そう、こんな感じ!華織のお尻。などと一人職場で妄想しておりました(==;A゛
しまいには、職場の男の人に、このお尻がいいんです!と力説してしまいました・・・。
お気になさらず、華織と暁・・・湊に気長にお付き合いくだされば幸いです。
最後まで(R)が続きます・・・そして、次回43話は最終話となります。

T様でよろしいのでしょうか。nostlgiaでのコメントありがとうございます。ずっと、止まっていて申し訳ないです(__;A゛
コメント欄からもお礼をしてありますが、別記事のこちらからも、お礼申しあげます。ありがとうございます☆ミ

ヘタレな湊にポチと拍手、コメントありがとうございます☆☆☆(__)゛深々謝謝~
湊水貴

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千夜一夜 第三夜
2012-05-13 Sun 21:35
第3夜~ キャリア
千夜一夜3縮小
文章:雪村せつな イラスト:湊水貴

天水音の父親は優秀な警察官だった。家ではその実直過ぎる態度から礼儀には厳格な父ではあったけど、天水音にも母にも優しい父だった。

物ごころつく頃には夜勤と日勤を繰り返してなかなか他のクラスメートの父親達と同じように家にいない父を淋しく思った事があったが成長するに連れて

淋しさは次第に尊敬に変わっていった。人の役に立つ人間になりたい。いつしか、そう、思うように天水音は成長した。

中学、高校と進むにつれてその気持ちは大きなっていったと言っていい。なので大学は国立の医学部を受験し、見事難関を突破した。

天水音は元々成績は進学クラスの中でも上位だったが、T大学の医学部といえば 難関中の難関。

持ち前の記憶力の良さと地道な努力で一発合格を勝ち取った。


医師というこれもまた、普通の人間よりプライベートの無い職業選択をしたのだが、父も母もよろこんでくれた。

そんな天水音の人生の転機は大学2年の頃、父をガンで亡くした時だった。

血液ガンの一種で、気がついた時にはもう、手遅れで余命3カ月と診断された。

なぜ一緒に暮らしていながら、気づけなかったのか、天水音は当時ひどく自分を責めた。


しかし、父自身は自分の死を自然なことのように受け止め、延命措置を断って残りの時間を家族とともに過ごす事に費やした。

天水音はその頃の事を今でも鮮明に覚えている。病状が進むにつれて日に日に、やつれていく父を目の前に何もできない歯がゆさがつのった。

大学の授業もそこそこに家に帰ると父がまだ生きている事に感謝した。

天水音はその時、改めて一人の人間として父親と向き合った。


父は無口な方であったが、少ないながらも大切な言葉残していってくれた。

一度だけ、父が天水音を見つめて

「お前はいい医者になれそうだな。俺は鼻が高いよ」と言った。

天水音は自分で医学部進学を決めた時も誰にも相談しなかったのだが、父も母も何も言わずに送り出してくれた。


けれどその時の父の目がさびしげで。天水音は今でもその時の父の様子が忘れられない。

父が逝ってしまった後で警察官の道を選択したのだが、もっと早く、気がつけばよかった。そう後悔した。


父は宣告を受けてから4ヶ月目に儚い人となった。



天水音が『 それ 』を決めたのは、父の葬儀での出来事だった。


父の葬儀に来た人々の多さに天水音は父という人だどういう人だったのか初めて知ったと思う。

それ程、多くの人が葬儀に参列し、そして天水音達と共に涙を流してくれた。


父がこんなにたくさんの人間に慕われていたのだと知ったときには天水音の中に不思議な灌漑が広がった。

警察官の正装をして映る父の遺影に同じように正装して葬儀に参加し、最上級の敬礼を送って父を送り出してくれた多くの警察官達の様子は

天水音の脳裏にくっきりと焼き付けられた。



「君のお父さんは本当に優秀な警察官でした。本当に、、本当に惜しい人をなくしてしまいました。」そう涙ぐんでくれる人の多さに

天水音は深く心を打たれた。

そして別れの場面にも警察官としての敬礼と誇りを忘れない警察官達の姿に、天水音は悲しい場面であるのに、救われるような気がした。

その時はあまり考えつかなかったが なにがあろうが勤務体制は変わらない警察官達が頭をそろえて葬儀に出席してくれるのはとても

大変なことなのだと自分が警察官になってから知った。

父が逝ってしまった夏を超えて、天水音は父と同じ警察官の道に進むことを決めた。


医師がある意味、スタンドプレーなのに対して警察官は常に縦横の連携プレーで行動する。まったく違う道を天水音は選んだ。


「父のような優秀な警察官になってみせる。」その年の夏に、そう決めたのだ。

忙しい医学部の授業をこなしながら国家公務員1種試験の準備を進めるのは骨が折れたが 

天水音はこれまた難関の国家公務員1種試験を

一発で合格してしまった。

元々記憶力がいいところに、本人の地道な努力が功を制した。


そういう意味では天水音は警察官に向いているのかもしれなかった。ひとつだけ苦労したのは武術。

中学時代から珍しく父の勧めで剣道をやっていたのが、どちらかといえば勉強の方が楽しかった天水音はあまり強くなれなかった。

国家公務員1種試験に合格した後、勉強に費やし過ぎて落ちた体力を鍛えなおすのはかなり骨が折れた。

警察官は剣道、柔道、空手のいずれかの協議で優秀でなければなれないのだ。それはキャリア、ノンキャリアどちらにも求められる。

空手は中学時代少しやったが同級生達に投げられて押し倒されるのに辟易してやめたし、柔道はもっと体力とがたいの良さが求められるため

身長が173センチあるとは言え、一般的に見てほっそりとしていた天水音はどんなに練習しても薄い筋肉しかつかない自分の体質に、あきらめが入っていた。。


唯一続いた剣道はこれもまた父の勧めで始めたのだから、父親がどこかで天水音に警察官の道に進んでくれる事を願っていたのだと、今なら分かる。

そう気付いたときにも天水音は後から父に深く感謝した。


警察官に求められるのは高潔な人格と明朗な頭脳、_______そして武術に秀でている事が基本的なスペックとして最低限必要要素として要求される。


特に 国家公務員1種試験に合格したものはキャリア_______総合幹部警察官 として多岐に渡ってその能力を求められる。

父はノンキャリアとしてたたき上げであったが、優秀な警察官だった。天水音はそんな父の背中を見て育ってきた。

天水音は同じ警察官として職務に当たることを誇りに思った。


警察官となって新たな発見もあった。これは医師の道に進まなくとも自分が一般人であるならば縁がなかったことであろうが、

天水音は射撃の腕前だけは飛びぬけて秀でていた。


警察官の使う銃は反動の少ないグロッグ17拳銃を通常使用するが、

いくら反動が少ないとはいえ、口径9mmの拳銃で初めてながらも警察学校で驚異的な成績を残した。

できれば拳銃など撃つ機会が無いのが一番だが、不幸中の幸い、、というか天水音は一度、日本の公道でグロッグの引き金を引いた事がある。

それは天水音が警察学校を卒業して武者修行として一時的に配属になった要人の警護の場であった。

続く

こんにちは湊&せつなです。改めてページにお立ち寄り下さいましてありがとうございます。(__)゛ペコリ
このたび、メゾンブランの雪村せつな様と合作を始めています☆
見切り発車のアラビアモノ(^^;A
文章、イラストは、かわりばんこで上げていく予定となっています。なので、せつな様の所と同時に同内容で更新があります~。
是非遊びにいってみてくださ~い(・v・)/有能な秘書の長谷川さんがカッチリスーツ姿で丁寧にお迎えしてくれます☆☆
湊は長谷川さんにも静くんにもやきもきさせられて勝手に妄想タイムに入っています。
文章内の事柄には都合のいいように変えている部分も多々あります、そして、アラビアものといいながら、一夜以来影も見せない・・・。
本人達もどうころぶかわりませんwお気になさらず、気長にお付き合いくだされば、幸いです!!
初天水音イラストでドキドキしました。せつなさんと、全然違う~(==;A゛
いつの間にかのポチと拍手ありがとうございます☆☆☆(__)゛深々謝謝~

湊水貴

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千夜一夜 第二夜
2012-05-10 Thu 23:02
第二夜 ~アカデミック
千夜一夜2縮小
文章:湊水貴 イラスト:雪村せつな



衣替えをして、少し風通しのよいスーツを身に着けているけれど、今夜は風のない晩。

生ぬるい空気が身の回りにまとわりつき、少しだけ息苦しくて、咽喉元のネクタイを少し緩めた。

白磁に浮かぶ頚動脈の青がトクンと流れ咽喉元から全身にまわった気がした。

水沢天水音(みずさわあまね)24歳。

磨き上げたはずの革靴が、月の明かりを受けて鈍く光り、アスファルトの上で静かに足音を響かせていた。

刑事は足で稼ぐ。_____よく聞く言葉。

キャリアとてそれは変わらない。いや、、、これは「新米」の場合に限るかもしれない。

やらなければいけないこと、覚えなければいけないこと、膨大な量の資料を目の前に奔走しつつ、

求められるものは日々大きくなって、新しい壁となり自分の前に立ちふさがる。


人より少し細い身体は、頭脳より先に体力の消耗が早かった。

それは国家公務員1種試験(法律)に合格して、キャリア組として東京都にある警察大学校に入校したときに実感させられた。

大学は、T大の医学部。体力が必要なのは医者も一緒。手術になれば長時間立っていなければいけない時もでてくる。

めまぐるしく患者を受け入れていくERに行ったら、立っているだけでは済まされない。

しかし、使う筋力は全然違う。

基礎体力を自分なりに身につけて臨んだはずだったのに、全然足りなかった。

体力をレベルで表すと、同期と比べて中の下くらい。自分なりの評価だから信憑性は薄いとだけ伝えておきたい。

「ふぅ、、、。」

朱色が映える薄い口元から一つ息が零れた。

ため息じゃない。

天水音は、そう自分に言い聞かせた。





「ほら、食べないと午後からキツイぜ。」

箸の止まっている天水音に声を掛けたのは、同期の佐々木通(ささきとおる)。

「食べてるだろ、、、。」

唯、箸が止まっていただけ。

琥珀の瞳をふいと逸らして、ついさっきまで走らされていたグラウンドに向けた。

今日は10キロ、かなりのハイペースで走った。まだついて行くのがやっと、、、。

天水音は、奥歯をそっと噛み締めた。

「なら、いいけど。」

佐々木の盆に乗っている食器を見るとほとんど食べ終わっている。

____食欲が無いなんていっていられない。食べるのも仕事のうちだ。

天水音は箸の重みを感じながら食事を再開したとき、突如するどい警報が食堂、、、館内に響き渡った。

皆の体に緊張が走る。

「緊急呼集!緊急呼集!総員出動準備を整え、集合せよ!」

突き刺す警報をバックに、スピーカーから聞こえる緊急呼集の呼びかけも終わらぬうち、あっという間に食堂からは誰もいなくなっていた。


「遅い!お前ら寝てんのか!」

集合しての第一声は罵声から始まった。

「何故この時間に全員の集合まで6分もかかる!」

いつ何時、緊急呼集がかかるか分からない。

束の間の安眠に入りだした寝入りのとき、ポテンシャルを高めるための自由時間のときもある。

その度にこの足を集合場所に向けて走らせる。

「本来であれば、3分で集合すべきところ。何故だ?!」

整列して一番端に立っている佐々木に教官が問いかける。

「はい!申し訳ありません!」

佐々木は大きな体躯を90度に曲げて頭を勢いよく下げる。

「申し訳ないで、誰かが救えるのか?誤って済むのは学生までだ!」

そう言って架せられたペナルティは、その場で全員腕立てふせ50回だった。

60人一斉に並んで、地べたに手を突いて腕立てふせを始めると、かなり壮観な光景になる。


警察官採用試験には体力試験もある。

ここで一旦ふるいにかけられ、警察官採用試験に合格しなければ警察官になることはできない。

つまり、ここにいる人間は、一定基準の体力と学力を持っているということになる。

キツイと思っているのは自分だけではないが、佐々木が楽々とこなしていく腕立てふせ50回を横目でチラリと見てしまうと、自分の体力の低さを苦々しく思う。

ノルマを終了した者はその場で全員が終わるまで、背筋を伸ばし起立して待っていた。

警察大学校だからといって、学生ではない。ここでの扱いは、もう一警官の立場になっている。

教わるのではない。

ここには在職中に何度か入校するが、今は初任科と呼ばれ、初任地に向けて先輩警察官の邪魔にならないよう仕込まれる。

一番最初に警察官として必要な礼儀から始まり、基礎体力作り、刑法、交通、柔剣道、拳銃操方、教養など、キャリア組みは6ヶ月、ノンキャリアは9ヶ月みっちり叩き込まれる。

初任科は適正を見極められ、再度ふるいにかけられている。そんな感じだ。

_______現に4人、後姿を見送っていた。

外に出れば、市民にとって新米なんて言い訳は通用しない。

天水音はラスト一回、歯を食いしばり思いっきり力を込めて体を持ち上げた。

素早く立ち上がると、自分が最後ではなかった。まだ十数人、眉を寄せ、顔をゆがめて腕を屈伸させながら己の体を持ち上げている。

痺れる腕をズボンの折り目に添えて背筋を伸ばす。

ほっそりとした首筋で光る汗が、襟元に流れ込んでいた。

余裕の佐々木が濃い眉の下から、「がんばったじゃん」と言いたげな瞳をよこすが、天水音は無視して目の前の青空を見据えた。

もう2ヶ月、あと4ヶ月しかない____。

医学への道を捨て、この場に立ったのは自分。

やるべき事も明確に分かっている。

握りしめたいこぶしを、指先に力を入れて地上に向けた。



「水沢警部補はテーブル拭きをお願いします。」

佐々木はカチャカチャと震わす食器を僕の手から取り上げると、冷たい布巾を渡してきた。

「あっ・・・ありがとう。」

琥珀の瞳を少し見開いて、呟いた。

柔道の黒帯を持っている佐々木。ノンキャリだけど、必ず上に上がってこれるだけの頭脳と明朗快活さを持ち合わせ、おまけに面倒身がいいときてる。

だけど、が体のいい佐々木がごつい手で食器を持つと、まるでおままごとだった。何度見ても笑ってしまう。

「いいもん見れた。」

「えっ?」

僕の背にした青空から差し込む太陽の光が眩しいのか、佐々木は少し目を細めていた。

「ほらさっさと拭けよ。ペナルティーはゴメンだぜ。」

軽口を叩いて佐々木はごまかす。

「こっちこそごめんだよ_____持って行くのなら、早く持って行ってください。佐々木巡査。」

警察大学校でも、名前に必ず役職階級をつけて呼ばなければいけない。

僕と佐々木は同じ年で同期。だけど佐々木はW大学を出たのに、僕の受けた国家公務員1種試験ではなく、東京都の警察官採用試験を受けてきた。

だから、僕は警部補で、佐々木が巡査。

スタート時点で出世の早さが違うのも、キャリア組とノンキャリアの差かもしれない。

それでもここでは殺伐としたものは感じられなかった。

気の休まる暇が無いのも事実だけれど、同期との共同生活と訓練には厳しい中にも楽しさも得られている。

毎日何のかんのといってペナルティもついてまわるが、

しかし、それは個人には及ばない。今回のように全員であったり、一教場、各班、と、必ず連帯責任で負わされている。

それによって更に「絆」を深め、脱落者を少なくしているのも結果としてでている。

自分にとっても、父の背を選んでこの場にいることを間違いでは無いと思わせてくれていた。


続く
こんにちは湊&せつなです。改めてページにお立ち寄り下さいましてありがとうございます。(__)゛ペコリ
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湊は長谷川さんにも静くんにもやきもきさせられて勝手に妄想タイムに入っています。

いきなりですが、どんどん遡って、天水音君の警察大学校エピソードまで行ってしまいました。
警察大学校など、含めて、都合のいいように変えている部分が多々あります。あれっ?て思わないで下さいね(^^;A゛
アラビアの描写はもう暫く後になるのかな、、、。おかしい、、、ロマンティクアラビアもの書きたくて始めたはずなのに。ね、せつなさん、、、。

本人達もどうころぶかわりませんwお気になさらず、気長にお付き合いくだされば、幸いです!
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湊水貴

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千夜一夜
2012-05-07 Mon 19:57
第一夜~神に称えられた国

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「イン・シャー・アッラー ( さよなら、)」




天音色(あまね)は切なさにその琥珀色の瞳を歪めた。でも最後まで、瞳を閉じたりはしない。

そうしないと、自分は涙を流してしまうであろうから。最後まで矜持を保つのだ。それがちっぽけなものだとしても____。


目の前には愛おしい 男_____アシュラフ アール マフムード アール ジアーの姿。  




「イン・シャー・アッラー( 神のご加護を )」


彼の笑顔を、こんな顔を見るのも最後なのだと心に焼き付けた。これが、最後__________。

もうこの国の熱砂の風を頬で感じる事も無いのだ。

空港の周囲は近代的な建物が多いが、少し車を走らせれば、古くから受け継がれて来たアラビアンナイトに出てくるような街並みが続く。



神に守られた国____『 マンスール 』の王首都サミーンの建築物はすべて白地に砂漠の空の色を映したアラビアブルーと

金をあしらったタイルで統一されている。その名の通り、神に守られたひとつの大きなオアシス___美しい街並みとその頭上に独特の王宮を持つ。

イスラームでは偶像崇拝が禁止されているため、古くから美しいアラベスク模様のモスク等を見る事ができる。

いつからか『 美しき 青の都 』と呼ばれ、古き良き時代から砂漠を旅するもの達の羨望と憧憬の眼差しを受けながら彼らを向かい入れてきた。


はるか昔から続く、『 神に守れられた青の都 』は今も人々の営みを内包して、砂漠の真ん中に靜かに佇んでいる。



そしてその国、マンスールは彼が統べるべくあるのだと、天音色は知っていた___________。


知っていたけれど、いつからかそのことからすら逃げようとしていたのかもしれない。

天音色は決して愚かな人間ではない。人より聡い所があって、それが彼を傷つける事があるくらい、繊細な心の琴線の持ち主だった。

そうして1ヵ月前までは自分は公僕として全力を上げて国に尽くして行くことを厭わなかった。それ以外のことは考えも付かなかった。


砂漠の鷹のような黒曜の瞳の持ち主に_______。


アシュラフに出会うまでは__________。



その名を冠する通り気高い彼の魂は自分だけのものにはなる日は来ない

いいや、来てはいけないのだ。

だから 天音色は一世一代のうそを付いた。アシュラフの瞳をもう見つめて居られなかった。ふいと視線をそらすと

「もう時間でしょう?行ってください。」とどこかつっけんどんに言い放った。


「相変わらず 天音色は冷たいな_____。」


とどこかからかうようにアシュラフが天音色の滑らかな頬触れてきた。


天音色は黙って立っていると怜悧な印象の残る気の強そうな『 美人 』で男女ともにどこか敬遠されてしまいがちな美貌の持ち主だ。

だが、そんな印象などアシュラフの前ではなんでもないことのように思えるから、、、、不思議だ______。

いつももっと可愛気のある言い方ができたら、と思っていた。けれど、それは結局最後まで叶わない夢だった。


「イン・シャー・アッラー ( 神のご加護を、)」と自分は告げたのだから____________。

そしてそれは『 さよなら 』の同擬語でもあった。天音色が送る方であれば、それは問題はない。

しかし天音色はこの男の前から姿を消す。逃げ出した自分に気がついた時、この男はどんな顔をするのだろう?


ふいと顔を逸らしてしまった後、天音色自分を持て余すような少し考えるような素振りを見せた後、アシュラフに視線を戻してこう告白した。



「あなたの姿が余りにも眩しいので、、、、なんだか、、、、緊張してしまったんです。」


アシュラフはいつもの白のケフィイエに金糸を織り込んだアガール姿ではなく、王たるものとなるべく王家の正装をしている。

身体にピタリとした民族衣装に金銀玉紅をはめ込んだブレスレットに同じく繊細な細工を施した胸当て大きなルビーを先端にはめ込んだ釋(しゃく)を片手にし、、

ああ、、、、本当に、眩しいくらいだ______。


アシュラフはそんな表情を見せた天音色を見つめて、ふっと笑った。


「今すぐに褥に連れ込みたい気分だな。」

そんなアシュラフの軽口さえも今は身を削がれるようだ。


「じゃあ、、私はここで。テレビを拝見しています。」

儀式は王族しか立ち入りを許されない。

だから天音色は今日この日と決めていた。


さよならをするならば、_____今日。この時。だと。

「アシュラフ様、お時間です。」



側近のハーディが時間の終わりを告げた。天音色は一瞬ハーディと視線を合わせたが小さくこくりと目でうなづいた。

時間はもう__________終わりだ。


「天音色、いい子にしていろここ数日、国務に追われてお前を抱けなかった分を取り返してやる。」

「な____________っなんてこと、いうんです!」

ハハハとアシュラフが笑いながら背を向けた。


泣くな_________________、

泣いていいのは、いまじゃない。

アシュラフの姿が神殿の中に消えると、天音色は見えなくなった背中にそっとつぶやいた。


「さよなら、アシュラフ___________、、、、」


ぼんやりと歪みかけた視界を瞳を大きく開いて、なんとか涙は流さずに済んだ。けれどもう、こんなに心が 痛い_______、

これからアシュラフのいない世界で僕は息をしていけるのだろうか?

アシュラフとの出会いからちょうど1ヵ月が過ぎようとしていた____________。、

あれは初夏の何処かぬるい空気を持て余しているような日だった。


続く

こんにちは湊です。改めてページにお立ち寄り下さいましてありがとうございます。(__)゛ペコリ
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見切り発車のアラビアモノでございます(^^;A二人して設定にあーで、こーでとコロコロころがっておりました。
文章、イラストは、かわりばんこで上げていく予定となっています。なので、せつな様の所と同時に同内容で更新があります~。是非遊びにいってみてくださ~い(・v・)/有能な秘書の長谷川さんがカッチリスーツ姿で丁寧にお迎えしてくれます☆☆
本人達もどうころぶかわりません・・・お気になさらず、気長にお付き合いくだされば、幸いです!

湊水貴

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